昨年3月に政府は企業による大学生の採用活動の解禁時期を遅らせ、大学4年生の4月にするよう検討を促す方針を固め、大学3年生の12月解禁から4カ月後ろ倒しを主要経済団体に要請してきました。
それにより2016新卒採用では、政府提言を受け、「3月1日採用広報開始、8月1日採用選考開始、10月1日正式内定」という採用時期の繰下げが、主要経済団体中心に実施される見通しとなりました。
これに対し、大学側は政府提言スケジュールを支持する声が多い中、企業、学生からはきわめて不評であり、「学業に専念するとは思わない」と答える学生は8割に迫り、海外留学が増えると考えるのも短絡的。海外留学が減少しているのは、就活スケジュールの問題ではなく、学生の志向の変化や経済的理由の方が大きいと考えています。
中小企業の採用は、秋口まで大手企業の選考が続けば、学生が中小企業に目を向ける機会が減少するだろうと予測され、逆に、倫理憲章に縛られない外資系や大手ベンチャーが採用に有利になると考えられています。また、中小企業への就活機会が減少することは、そのまま内定率にも影響。企業、大学ともに半数前後が「未内定者が増加」、または「学生の就活期間がさらに長期化」することも懸念されています。
このような状況を背景に採用時期繰り下げについてアンケートを実施しました。
4月の消費税率変更などの懸念材料はあるものの、円安、日経平均の改善、大手メーカーを中心としたベアの実施、東京オリンピックなどの影響もあり、新卒採用の企業は増加傾向で、採用意欲は高まってきているという空気があります。アンケート結果では、新卒採用を考えている企業は42%という結果になりました。
企業の採用活動の解禁を大学4年生の4月に遅らせるよう検討を促す政府提言を受けて、2016年度新卒採用を待たずに2015年度新卒採用からインターンシップを実施する企業が増加しています。インターンシップ採用を効果的に増やすための試みが多数行われており、大学側の反応も良く、今後このような動きにどう対応していくかを検討している企業も多いようです。中小企業にとっては不利と思える提言内容ですが、アンケート結果では、政府提言を支持すると答えた企業は33%、支持しないと答えた企業は16%、その他が51%という結果となりました。
良い人材を欲しい企業側の選考が今まで以上に厳しくなることが予想される中、優秀な学生の囲い込みを行なうために、アルバイト、インターンシップなど、様々な手段で前倒しして学生の見極めを行なう企業が増えてくると予測されます。一方で、解禁が遅くなった事で今まで以上に採用にかけられる時間が短くなり、大手企業と中小企業の採用期間が被り、併願や滑り止めとして中小企業を受ける事ができなくなる場合も出てくると考えられます。アンケート結果では、政府提言による影響があると答えた企業は44%、影響はないと答えた企業は15%、その他が41%という結果となりました。
アンケート結果では、未内定者が増加すると答えた企業が29%、減少すると答えた企業が8%、その他が63%となりました。
政府提言がどのような影響をもたらすか、学生側も企業側も判断しにくい中、未内定者が増加すると答えた企業の数字は、減少すると答えた企業の3倍以上となりました。新卒採用を積極的に行おうとしている企業にとっては、この政府提言の影響は厳しいものになると捉えられているようです。
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